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「もしなんでも願いが叶うなら何を願う?」
ゴロンと寝転がっている彼女の横に座り聞いてみる。
「ん? そうだなぁ……。みかんがおなかいっぱい食べたいな」
少し考えた素振りをみせてそう言った彼女に少し疑問をいだく。
「みかん好きだっけ?」
「ううん、普通。でもほら、みかんが食べたい天気じゃない? 私って季節感大切にしたいから」
起き上がり、ね?と小首を傾げていう彼女を無視して窓の外を見る。外は雪が降っていた。
「てか、なぁに? いきなり願い事なんて。叶えてくれるの?」
そう聞いて俺の返事を待たずに、あーみかん。スイカでもいいけど。などとうだりはじめる。いや季節感はどうした。
「いや、今さ、俺らは神様より上にいるわけじゃん。なんでもねがいごとを叶えられそうな気がして」
俺がいうと彼女は一瞬きょとんとした顔になり、そしてふふっと笑った。
「物理的にね」
笑顔で言った彼女に釣られて笑う。
地球を飛び出して何日だっただろう。そんなことを言えばびっくりしてしまうかもしれないが、人類は地球を出る術を手に入れた。
今までは空想上のものだった宇宙に行けるようになり、絶対手が届かないと思われていた月に足も踏み入れた。
そんな中俺らは、地球によく似た惑星を見つけた。そしてそこに滞在している。
「この星にはさぁ、神様っているのかな」
「まだいないんじゃない? ……俺らがなろうか」
ふと、そんなことを提案してみたら彼女はキラキラと嬉しそうな表情になった。
「いいね! それ! じゃあこの星のエデンにはみかんを置こう。そしてそれを食べたら追放するの」
と、笑った。
いや、あれはリンゴじゃないとダメだろ
。と思ったけどまぁいいか、と俺も笑って見せた。
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