生命のゼンマイ

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 ちなみに、人の世で大病を患ったとか大怪我に遭ったとかの時でも人形が活発に動いていることがあります。それは寿命は尽きていない、すなわち人の世でのありさまが危機的だったとしても結果的には生き長らえることを意味しています。それとは逆に、人間界で元気に動き回っているのに人形の方が止まり掛かっているという場合もあります。これは間もなく定められた命が終わろうとしていることを表しており、突発的な災害や不幸な事件に巻き込まれるなどの形で辻褄が合うようになっているわけです。  死神さまは、それぞれに与えられている時間が正確に消費されているかを見極めているわけでして、寿命が残っているのに止まり掛かっている人形があれば、命のゼンマイを巻き、逆のケースであれば緩めて強制的に停止させるのです。
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