あなたが誰を好きだとしても

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 部屋着に着替えてベッドに転がったものの、なんだか落ち着かない。さっきから、何度スマフォを確認しているかわからない。  話って、何なんだろう。というか、今日の変な感じは一体何だったんだろう。もやもやとするのに合わせて、ゴロンゴロンと寝返りを打つ。自然とため息が漏れ、スマフォを確認する。ひたすら、そればかりを繰り返していた。  時間を埋めようと、画像のフォルダをタップして入学式の写真を探し出して眺めた。少しあどけなさが残る大雅と、まだ髪を伸ばす前の私が並んでいる。今は私も大雅もこれより髪が伸びていて、大雅に関しては背も随分伸びている。それに、たった三ヶ月でそんなに変わるとは思えないけれど、今日見た大雅はなぜか大人びて見えた。湿度が高くて少し汗ばむくらいだったけれど、顔も表情もさらりとしていた。  渇いた喉に、ジャスミン茶を一口流し込んだ。その時、机の上のスマフォが震えた。大雅だ。身体中に響くくらい、心臓がドッキンと大きな音を立てた。  ベッドに座り直して、画面の中を確認した。見慣れない、大雅からのメッセージは、嬉しいようなくすぐったいような変な感じで、そわそわする。 『面と向かっては話しづらくて』 『今から一方的に話すから、少し聞いて欲しい』 「既読」のサインで、私がリアルタイムで読んでいることはわかっているだろう。けれど、大雅は私の相槌を待つことなく、淡々と話を続けた。
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