序章 封魔の剣

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 石組みの城壁を男は見上げた。  面白がっているような目つきで、その目がきらめいた。  男は丹念に城壁の石組みを眺めている。  ふむ、とひとつうなずく。 「これなら魔王の軍勢が攻めてきても、ひと月は持ちこたえられる……」  つぶやいた。  男の目には、城壁にかけられた防備の魔法がひと目でわかるのだ。石組みひとつひとつ、その石組みをささえる漆喰、そして複雑な文様を見せる石組みの法則から、この城壁が魔法によって守られていることがわかる。  男は町の正門へと歩を進めた。  正門を守る護衛兵が男に気づき、槍を構えた。 「とまれ、何者か? そしてこの町へ来た理由は?」 「おれはこういう者だ」  男は肩から提げている皮製のもの入れから陶器で出来ている紋章を取り出した。  それを見た護衛兵の態度が一瞬にして恭しいものに変わった。 「これは失礼しました。”ギルド”のお方とは存じ上げませんで……」  うん、と男はひとつうなずいた。 「この町──ザザンの町──の評議会がおれを招集したのだ。魔法防備について、意見を聞きたいということだったな」  ああ、と護衛兵は納得した。 「そういうことでしたら、評議会の面々は町の中央評議会議事堂で政務をとっておられます。わたしが一足先に、あなたさまの訪れをお知らせしておきましょう。それまで暫時、この町の様子などを見物なさってはいかがでしょう?」  男は護衛兵の提案にうなずいた。 「それがいいだろうな。わたしも、ザザンの町の防備がどのようなものか、また町の様子も知っておきたいし……」  護衛兵はその場にいたほかの兵士に替わりに立つよう命令し、急ぎ足で町の中心部へ駆け足で立ち去った。  その後を、ゆっくりと男は町の中へと踏み込んだ。
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