序章 封魔の剣

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 町を歩く男の鋭い視線は、町並みや道路の様子をそれとなく観察している。  町組みは魔法防御の基本である魔方陣を象ったもので、町を縦断する南北の道路と東西を繋ぐ道路が交叉する中心に町の重要施設が集中し、全体に円を描くように道路が作られている。  町の東西南北にある門はいつでも閉じられるようになっており、望楼や監視塔がその間を埋めていた。  一見、町の防備は完全無欠のようであったが、男の目には穴だらけに見えた。  城壁は完璧に作り上げられているが、望楼の位置が悪い。あれでは敵の魔法の格好の餌食だ。それに中心部の土地が低すぎる。魔法を呼び込むようなもので、攻撃魔法には無防備といっていい。  それでも町は繁盛しているようだった。  大通りに面してキャラバンを宿泊させる宿が何軒も立ち並び、テントを張った露天商が声をからして客を呼び込んでいる。  また魔法師の数もおおい。  医術の魔法を習得した治癒魔法師のいる”医院”や、将来の人生設計を決めるための”占い師”などのテントが幾つも見られた。護符や魔法のちからがこめられたアクセサリーを売っている店もかなりの数見受けられる。     
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