序章

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 ソファーでくつろいでいたらお前も手伝えと怒られてしまったので、仕方なく渡された食器を机に並べていきます。並べながら私はふと彼に問います。 「今日は起きるの早いのね」 「逆。夜中一睡もできなかったから、これ食ったら寝るよ」  眠たそうに言って、実際大きなあくびをする彼。生活リズムが不規則なのはほめられたことではありません。まったく、私を見習ってほしいものです。 「そっか。私は何しようかなー」 「どうせ何もすることなんてないだろ」 「まあ、そうなんだけどさ」  食器を並べ終えた私はふと思い出しました。 「……ああ、さっき遠目で見た海がきれいだったの。朝陽を反射してきらきら光っててね、また行こっかな」 「ふうん」  言葉の意味が分からないわけでもないでしょうに、黄昏はつまらなそうに相づちだけ打ちました。それからさっさと食べ終えて食器を片づけてしまうと、自分の部屋に戻ろうとします。  と、その直前で、思い出したように彼は手を止め振り返りました。私をまっすぐに見据える視線を感じたけれど、前髪のせいでそれがどうだかわかりません。彼の両方の目はいつも通り私には見えないままでした。 「なあ」黄昏はゆっくりと口を開きます。     
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