2.彼

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2.彼

麻友ちゃんと居ると、いつも幸せそうに彼は笑う。 他の誰と居る時よりも楽しそうに、笑うんだ。 彼は佐々木 亮介。 クラスのあだ名は何故か『サスケ』 名前と名字を縮めて呼んだら、そうなったらしい。 その呼び名で呼んでいるのはクラスのごくわずかな人数だけだけど。 私は彼のこのあだ名がすごく好き。 小学生の頃、忍者ごっこをして遊ぶのが大好きだった彼を思い出すからだ。 楽しそうに手裏剣の形をした折り紙を投げて遊んでいたあの頃を。 麻友ちゃんは、彼を『亮介』 私は、『りょうちゃん』 そう呼んでいる。 呼び捨てにすることが羨ましかった。 呼んでみたかった。けど、彼はいつも私が呼び捨てにしようとすると『生意気だぞ、俺はお前の兄ちゃんみたいなもんなんだからな』と言って頬を摘まむ。 そのやり取りが好きだっていうのもあったし、それに……なんとなく私が呼んじゃいけないのも感じていた。 彼の目はいつだって透き通るように澄んでいて、綺麗だった。 りょうちゃんに頬を摘ままれている瞬間、その時だけ彼の瞳に自分が映っていて……それがすごくすごく嬉しい。    
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