第1話 賑やかな食卓

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「先食べてて良いってさ。だから僕はいただくよ」 「そうなのか。じゃあ父さんも食うかな」 「いただきまーふ」 サクリ。 こんがり焼いたパンから魔法のような音が鳴る。 僕は昔からこの音が大好きだった。 何よりも食べている実感を与えてくれるからだ。 父さんはウィンナーを両端から食べ、最後に真ん中を頬張る。 ミカはまだ眠たいのか、薄眼のままでヨーグルトを口に運んでいる。 「今日は天気が良いし、ちょっと遠出しないか? 遊園地、動物園、緑地公園なんかもいいな」 「いいね。僕は今日予定無いよ。ミカは?」 「アタシだめー。今日は夕方まで練習があるのー」 「そうなんだ。だから早起きなんだね」 「先生がやる気出しちゃってさー。『今度の大会は優勝するぉお』とか言ってんの」 「じゃあ大分しごかれるよね」 「あーぁ。前の先生の方が良かったなぁ」 ミカはぼやきつつ、カップに入ったスープを啜り出した。 それを見て父さんも鏡合わせのようにして飲み始める。 「じゃあお出かけは明日にしようか。それだったら良いだろう?」 「うん。日曜は練習無いから大丈夫だよ」 「よぉし。たまには奮発して、お小遣いいっぱいつかっちゃおうか……」 「父さん! スープこぼれてるよ!」 「え……本当だ!」     
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