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それからは、能力に頼らない生活を心がけるようになった。
気が付けば私は――そう、もう自分を「ぼく」と呼ぶには年を取りすぎた――私は八十歳を超え、家族に看取られながら人生を終えようとしていた。
驚きの全くない、予想通りの、良くも悪くもない人生。
交通事故で死ぬことも、アイドルと結婚することも無く、ただ淡々と予定通りの人生を過ごしてきた。
こうして家族に看取られ、そろそろ寿命かなと思っていた通りに、死んでゆく。
持っていた能力と比べれば、あまりにも平凡な人生。
しかし、それでも最後の瞬間、私は「素晴らしい人生、素晴らしい能力だった」と満足の笑みを浮かべた。
――終
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