空は晴れている

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空は晴れている

数日後のお昼休み。天気は晴れている。雲1つない晴天だ。日焼けを気にしつつも、リヨはカナエを誘い屋上で一緒にお弁当を食べる。2人は横並びに座る。 カナエが喋り、リヨが聞く。カナエから彼氏の話はしてこない。気を遣っているのだろう。 時折強い風が吹き、カナエのショートカットの毛先が舞う。乱れても直そうとしないカナエ。それを見てリヨは笑ってしまう。 「何笑っているのさ~」 カナエに突っ込まれる。 「だって、カナエすごい髪。乱れまくってる。それなのに直さないなんて。」 「悪かったね… リヨの髪も乱してやる!」 そう言い、リヨの髪をカナエはぐしゃぐしゃにする。リヨの髪は結んでいないのですぐにぐしゃぐしゃだ。2人とも見つめ合い、笑い合う。 「これで、お揃いだね。」 カナエに言い、カナエの身体にピタッと自分の身体をくっつける。勢いでカナエの肩に頭を乗っけ、目を瞑る。慣れた拍子でカナエはリヨに応える。 「眠いの?」 カナエの声がリヨの耳元で響く。 「…眠い。お腹いっぱいだから…」 カナエは何も返さない。今、カナエはどのような表情をしているのだろうか。気になるが見ない。 「ねぇ、カナエ。これからもずっと、カナエの姫でいさせて。」 「良いよ。私の大好きな姫。」 カナエが優しく呟く。 カナエの声を耳で感じる。カナエの温もりを肌で感じる。 リヨの“好き”とカナエの“好き”は交わらない。そして恐らく今後も交わることもない。しかしながら、それで良いとリヨは決めた。何よりも、カナエの隣に可能な限りいたい。それが今のリヨの願い。自分の想いが報われなくても良い。リヨはカナエの“姫”である。同じくカナエはリヨの“王子”である。 「ねぇ、知ってる?鈴蘭の花言葉。たくさん意味あるみたいだけど。」 「知らないな。何故調べたの?」 「カナエの香りだから。」 「なるほど。」 「1つがね、再び幸せが訪れる、なんだよ。」
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