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そもそも以前書いた女性サイズ女性形宇宙戦艦の話もアニメにならんだろうかと思っておったらしいのをあれやこれやでダメにしておる。早川から出したのにこの体たらくである。情けないとしか言いようがない。 その著者、本気でワタクシの話を書くのに入れ込んでおる。LINEのスタンプを作ったり、アニメっぽい絵を書いたり、さらにはYouTubeを使ってワタクシをバーチャルYouTuberのようにしようとしたりしておる。 だが、その全てでどこかツメが甘いのだ。もともともう中年を越えつつあり、そろそろ人生の終点が察せられる年齢であるところで「どれもモノにできない」などと夜中にツイートしておった。なにを今更。そのくせつまらぬ嫉妬を内心に秘めておるから実に情けない。 そう言うわけでワタクシはその小説のキャラとして、その著者に「鉄研制裁!」ということでコンビニにパシリにいかせたりしておる。ワタクシの模型作りや旅行の冒険の出演料であるのだから遠慮は要らぬであろう。 といいつつ、ワタクシは小説のキャラであり著者の身体を依り代としているのは事実であるので、あまり無理もさせられぬ。この中年著者がもう身体に無理ができぬのももうわかっておる。 「総裁、無理させすぎよ」 とそのワタクシに声をかけてくるのがその女性形女性サイズ宇宙戦艦・シファ殿である。我が著者はこのワタクシたち二人のキャラとともに日々を鬱々と過ごしておる。えい世話が焼ける。書いた小説のキャラに世話される著者というのは一体どういうことだ。軽く苛立つのだが、何分にもワタクシは非実在女子高生、依り代を壊してしまっては手がないのだ。そこで著者の中学時代から著者と共にいたシファ殿はさすがの慧眼である。しかしこういうときも光り輝く武装姿、ぶっちゃけフレームアーマーガールズみたいなシェイプされたアーマー姿なのはどうかしていると思われるのだが。 「もう寝させるしかないですなあ」 ワタクシはそう言いながら眠剤を用意する。 「SNSのタイムラインを寝る前に読む癖は、もうやめさせないといけないわね」 シファ殿も心配で困った顔をしている。キャラに心配をかける著者なのである。まったく。ワタクシがそう思っているとき、お風呂のタイマーの音が聞こえた。ワタクシは著者を風呂に入れなくてはならぬ。まったく、こうなるとワタクシは著者の娘に当たる年齢なのに母親のような役割である。これではまったく頭が痛い。
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