私は死んだ

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私はなぜ死んだのだろう? 分からないまま3日が過ぎた。 寝なくても平気、空は飛べない。 けど歩いても疲れない。呪縛霊では無い様だ。 23歳、独身、女性、普通の会社に勤める会社員。 生きていたときのことは大体覚えているが、死んだ瞬間、なぜ死んだのかが分からない。 ただただ、宛もなくどこかへ歩いていると人が天へ上がっていくのが見えた。 なんだろう? 疑問と共に足がそちらへ向かおうとすると声をかけられた。 「そっちへ行っちゃだめだよ」 振り返ると男の子がいた。 右足がない。怪我をして亡くなったのだろうか? 「あれは成仏する人たちの列なんだって。行ったら成仏しちゃうよ」 私は疑問になり首をかしげた。 「成仏しちゃいけないの?」 そう聞くと男の子は笑った。 「成仏していいの?」 そう言って突然目の前から消えた。 「僕はもっと遊びたかった」 言いながら男の声も消えていった。 私は何かやり残した事があっただろうか? 思い返すが、特に何も無い。 生きていても良い未来は想像できなかった。 再び人の列に目を向けるがそちらへ向かおうという気持ちが薄れていた。 どこに行こう? 再びまたさまよい出す。 何日が経っただろうか? 気付くと知っている道に出た。 確かあっちが家だ。 一人で暮らしていたアパートへ向かった。 入ろうとするがドアを開けられる訳がない。ドアに触れるとそこはすけて通れて中に入れた。 キッチンには数日ほったらかしの食器が異様な汚れと、多分匂いも放っていた。 匂いはしなかった。 部屋を見渡しテーブルに見慣れない何かが置かれ居ていることに気付いた。 「お母さんへ」 母親宛だ。 何を書いてあるんだろう? 手に取ろうとするが取ることはできない。 あー何だっけ? なんだっけ? なんて書いたんだっけ? これがあるって事は自殺? いや、でも何で? 自殺するほど嫌なことがあったのだろうか? 首をひねってみたり考えるが全く思い出せない。 そんな時スマホがなった。 部屋に置きっぱなしにしていたのだろう。 覗くと母からのコールだ。他にも着信が来ている様だが。 着信の受話タッチすると電話に出た。 「あれ?」 「幸(サチ)? やっと出た。なによあれ? って大丈夫なの? 会社から無断欠席してるって連絡したけど」 「お母さん、私ね」 と言いかけて充電が切れた。
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