第二章 人形を追う

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 この日、彼はある女性の家を訪ねた。その女性の名はコーアル。幼少期は貧しい家で育ち、その中でも生活を切り詰めてクレイドールを購入したという。  彼女が所有する人形の名はアーマス。かつては黒い瞳に黒い髪、真っ黒な肌のクレイドールだったと言う事だけれども、彼の目の前に現れた人形は、薄いブルーの瞳に、輝くような白い髪、それに白い肌のミネオールだった。  彼はコーアルから、幼少期のこと、アーマスがミネオールになった時の事、ミネオールになってから今までの事などを詳細に訊ね、記録していった。  アーマスは、金剛石のミネオールだという。けれども、いくら鉱物が安価で手に入るこの星でも、金剛石は高価な部類に入る。コーアルの家で金剛石の樹を育てていたとは思えないし、当然購入する事もままならなかったはずだ。そう考える彼は不思議そうな顔をする。  すると、コーアルがくすりと笑って、アーマスには石墨ばかりを食べさせていたという。  彼は納得した顔になる。石墨と金剛石の成分は同じだ。それできっと、アーマスは金剛石のミネオールになったのだろう。  その事を簡潔に記録に付け、彼は微笑んで言う。 「それにしても、長く共に居られてうれしいでしょう」  彼の言葉に、コーアルもアーマスも笑顔で頷く。  その言葉を締めの言葉にして、彼はコーアルたちへの質問を終えた。
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