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「あなたが勅使河原さんの担任の……」 「はい。佐村河内(さむらごうち)です」 外出先で事故の連絡を受け、慌てて戻ってきたらしい。 自分が担任を受け持っているクラスの生徒が屋上から落ちたというのだから、落ち着いていられない様子である。 「つかぬことをお聞きしますが、先生は生徒からニックネームで呼ばれたりしてますか?例えば『ショージキ先生』とか」 「それはもしかしたら生徒たちの間ではあるかもしれません。私の名前は『正直』と書いて『まさなお』と読むんですが『ショージキ』と言われてるような気もします」 佐村河内は刑事がなぜ自分にそんなことを聞いたのか分からなかった。 しかし不可解な質問はまだ続く。 「では、亡くなった勅使河原愛さんのことはどう呼んでいましたか。なにか特別な呼び方があったのでは?」 「他の生徒同様、名字で『てしがわら』と呼んでいましたが。同級生からもニックネームで呼ばれたりはしてません。勅使河原はそういうキャラではありませんので」 刑事は一体何が言いたいのだろうか。
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