雨の日に 一

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そして、ついに、その日が来た。 出勤したわたしに警察からの電話が入る。 その内容に頭が混乱して、 「 すみません!仕事なんです 行けません 」 と答えた大声にとなりの同僚たちが驚いた顔をする。 給湯室に駆け込んで、直ぐに彼の実家に電話すると、 わたしは大きな間違いを起こした。 彼の親に警察署に迎えに言ってくれと、場所と担当官の名前を伝えて電話を切ったわたしは、 また煩雑な仕事に追われていった。 電話も電源を落としたから当然連絡もつくわけなく。 夜就業時間の終わりに、気がついて電源を入れると、何軒もの彼の親からの留守電が入っていた。 最後の伝言なんて、もう怒ってるのが丸わかりの言葉の羅列。 深呼吸を何度かしてから掛け直すと、 「 どちら様ですか?」 だって。 仕方なく一応謝ると、 「 やっと取り調べが終わって帰ってきたところ 」 「 取り調べ?え?」 「 柊子さん、あなた、何言ってるの…… 景紀は痴漢で捕まったのよ!」 痴漢?逮捕? 頭の中がグルグルと音を立てて崩れた。 わたし容疑者の妻ってこと? もうなにがなんだからわからないけど、 「 今から帰ってくるのね!待ってるから 」 と電話は向こうから切られた。 家に帰りたくない、 あ、乾燥機終わってるから出してもらっとく? 誰に? 彼と彼の親がどんな顔をしてあの狭い借家で待ってるかと思ったら、本当に逃げたくなった。
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