オルター・洋子「龍平洋漂流記」より 第5章 真摯な男たち

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散歩する侵略者(2017公開)              …宇宙人しんちゃん、犬にかまれる  去年、公開時に映画館で観たが、今回改めて借りてきた。 アクションシーンの多い映画を大画面で見ると酔うことが多いので、家の小さな古いテレビで見たら、二回目だし、しっかり観ることができた。  初めに見た時と同じ印象、つまり前半、不穏というか不快である。 長澤まさみの痛々しい頑張り(怒り=怯え)に感情移入するせいもあるが、もう一組の話になると、あぁ…というような気持になる。あの少年少女の宇宙人が私にはダメだった。映画の合間に、NHKで大昔やってた「少年ドラマシリーズ」が挟まってくる感じ。  映画全体で言うと、設定の突拍子の無さは気にならなかったが疑問点が多すぎて話に入りこめない。ずっと引っかるのは、宇宙人とガイドの関係。わざと隙だらけのやつを送り込んで、人間に協力させちゃおうってことなのだろうが、にしても、あんなにひ弱なうえ甘い心構えで地球を侵略するつもりなの?「卵子に最初にたどり着く2.3匹の精子は、卵子の硬い壁を突破するのが使命で決して受精するには至らない、後から来る精子に道を作って死ぬ」のと同じ理屈かな。  不仲とは言え、外見が夫(結婚するんだからタイプでしょ)と同じで、性格が夫よりかわいかったら、夫の愛情に飢えている長澤まさみは宇宙人に惚れちゃう、とかは想像に難くない。が、長谷川演じる桜井は、どうして自分を騒動に巻き込んだコナマイキな少年宇宙人に自分の体を提供してしまうまで肩入れしちゃうの?まさか惚れちゃった?もし、そんなドメスティックな理由で人類を売り渡したんなら、もっと、桜井が人類に幻滅している理由や、少年に惚れちゃうエピソードも丁寧に描いてほしかった。もう一回観ればその理由が判るのかもだけど、観る気にならない。  あと、あのJK宇宙人。めっぽう強くて可愛い顔で血まみれのJKって、もしかして「萌えキャラ」なの?あの部分がエンターテイメントなら私には全く楽しめなかった。「セーラー服と機関銃」みたいに、女優の類まれな個性が光るならいざ知らず、私には、声、演技、ルックスも苦手で、ストーリー的にも出てくる意味すらわからない。あの子のエピソードのせいで「あ、これ、もしかして、JKゾンビとかのあのジャンル?」という、ガッカリ感すら生まれた。これは単純に好みの問題なのかも。
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