オルター・洋子「龍平洋漂流記」より 第5章 真摯な男たち

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蟹工船(2009公開) …小さな丸い鼻の穴みせて死んだ  第3次龍平マイブームなので「龍平出演映画リスト」を握りしめて、ツタヤやゲオに通っています。歩いてすぐのところに置いてないものは一駅歩いたりバスに乗ったりして世田谷西部を探して歩くのです。私は車も自転車も乗れないしオンデマンドもしないんです。でも、こうして捜し歩くのが宝探しみたいで楽しいの。  まだチェックできてないやつは…えっと…「カニエ船」 え?蟹江船? ということは、敬三が船頭で、一郎が艪を操る、的な いやいや、わかってまんがな「カニコウセン」だよね。  公開当時を覚えています。 何か映画観ようということで、仕事でヘロヘロな夫と何かでクタクタな私は新宿西口の映画館のいっぱい入ってる古いビルに行ったんです。そしたらいろんな映画やってたけど、伊藤美咲の「かもめ」と松田龍平の「カニコウセン」で迷って、「カニコウセンなんか疲れそう」という理由で「かもめ」にしたんです。もう10年くらい前でしょうか、当時、私たち夫婦は映画観るのもしんどいくらい疲れていたんですね。40代って人生の正念場みたいなとこありますから。 「かもめ」は疲れはしないけど、綺麗な、どうということもない映画でした。佐藤浩一と伊藤美咲…漁師町のおばあちゃんが着てるみたいな、あずき色の花柄のカッパを着た伊藤美咲はすごい美人でした。私はそれが見れただけで満足だった気がします。  さて、カニコウセンDVD観ました。 松田龍平はじめ、西島秀俊、新井浩文、柄本時夫、高良健吾、斎藤工、TKO…今をときめくスターが20代のフレッシュなお姿で並んでいる。テカテカする黒いエナメルのスタイリッシュな作業着を身につけて、カニ缶工場の不思議なマシーンの周りで動き回ったり、やせ細って死んだり、鞭で打たれたり、発狂したり、ドキドキして見ごたえたっぷりです。  監督のSABUというお名前もあってか、黒エナメルのテカテカ具合と若い男性の汗ばんだ肌、メカっぽい船内「スタイリッシュ・ボンテージ・アジテーショナル・ホモセクシャル」とでも名付けたい異様な雰囲気。いえ別にホモは出てきません。男ばっかりという意味です。演劇の舞台みたいにも見えます。
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