オルター・洋子「龍平洋漂流記」より 第5章 真摯な男たち

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 真摯に生きてる青年たちの話なんですが、干しアンズを食べながら、これをジックリ見ているところを夫や息子に見られたらどうしよう…というような後ろめたさが湧いてくる。つまり画面はいい男だらけでやたらとセクシーなんです。こんなの観てるとこ見つかったら又息子に「クソキモ龍平オタ」と吐き捨てるように言われるんじゃ…親に向かってなんてことを…まったくその通りよ。  松田龍平演じる新庄は、かっこいいと、セクシーと、なんかおかしい、の正三角形のド真ん中な感じで(つまり松田龍平)、黒いエナメルの衣装異様に似合って、鉢巻きして、髭をちょこっと生やしているのが返って繊細な美しさを強調している。これを私は白拍子効果と呼んでいます。いつもと違う「扇動する男」の役です。はきはきした口跡で長いセリフを言っています。頼もしいけど可愛いところもあるリーダー、独裁的なところはなくて仲間を励ましながら上手にまとめていく。見たことない魅力にあふれて、それだけでも嬉しくなるんです。だけど、なぜか彼が上手にリーダーシップをとればとるだけ心配になってくる。「Aer You OK?」を心の中で連発しながら始終ヒヤヒヤ見ていました。 はきはきにしろ、ふわふわにしろ、結局、気を揉ませる男なんですね。  サディステイックな西島秀俊も良かった。実はこの俳優さんの魅力がイマイチわからなくて、特に「いい人」キャラやってると「信用ならん…」と異和感あります。が、カニコウセンでの残忍な「サーカスの団長」みたいな役はあってる。悪い役の方が逆に可愛い感じがする。
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