オルター・洋子「龍平洋漂流記」より 第5章 真摯な男たち

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 ところで松田演じる新庄は、さんざん皆を励まし、度かさなる苦難を乗り越え、明るく韃靼人のダンスも踊り、希望を持って旗振ってユニオン作って立ちあがった末に、儚く殺されてしまう。撃たれて死にました。そして死んだ顔を下からじっくり撮っているが、目を開いたまま、可愛い丸い小さな鼻の穴と、ひげに縁取られた唇が血に汚れている。それを見て私は、ハムスターのミミちゃんが仰向けになって死んでいるのを思い出し(多分髭と、小さく整った鼻と口が思い出させた)思わず涙が出てきた。暫くとまらない。ファンタジックなまでに造られた世界だからこそ、若い力に満ちた若者たちが、過酷な労働や戦争や迫害で死んだことに思いが至る。けっして疲れるような映画ではなかったのです。  ところで、新井浩文が「俺も連れて行ってくれよ~」と無邪気な三白眼で懐いていた。青木生きてたんだ…良かった。 追記・ゲオで見かけた伊藤美咲の映画は「かもめ」じゃなくて「海猫」だった。似てるけど違う鳥でした。お詫びして訂正いたします。
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