オルター・洋子「龍平洋漂流記」より 第5章 真摯な男たち

7/12

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
 吉永小百合は超大物だけど、「演技派」でもなければ「器用な女優」でも無いんだろうと思います。暴動を起こしそうなファンが求める「吉永小百合」を実直に演じ続けるのが「吉永小百合」。私は吉永小百合ファンじゃないから、そんなものかな、と思うだけだけど、もしファンなら、こんなにうれしいことはないでしょうね。だって、松田龍平がそうだったら嬉しいもん。70になっても「夢の男」や「魔性」を演じてくれたら…。  さて、この映画での松田龍平の役は、彼でなくてはこの映画が成り立たないという役ではない気がしましたが、そういう役をきっちり演じるところに役者としての心意気と「格」みたいなものは感じましたが。「60周年記念作品」だから、かな。 ところが、2回目見た時です。  雪の中、森山未来演じる発達障害の同級生を探しまわる松田の姿を見ている時、私は、いいなあ、と深く感動した。雪の中を長い脚でザクザク歩いて「おりてこいよ」と優しく声をかけた、この素直な、ゆったりした、頼もしい北国のお巡りさんは、やはり松田龍平以外ではだめだった。つまり適役だったんですね。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加