神様シッター

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 神とは人の信仰を具象化したものである。  信仰が集まれば神は生み出され、また逆に信仰がなくなれば神は消滅する。  日本において八百万の神などと称されるのも、ひとえにこの信仰の多さゆえの現象である。  その信仰の多さは、昔ながらの土地神などが忘れ去られ消滅していく現代日本の中においても、未だに新たなる神が日々生まれ続けるほどである。  インターネットが普及された近代では、一人の賛辞が波紋を呼ぶように一気に広がり、それは日本中へと拡散していく。  結果、すぐに多くの人からの称賛を得て、ゆくゆくそれは神という称号と共に信仰の対象へと昇華していく。 「…はぁ」  今日も私は増えるばかりのネットへのそういった書き込みを眺め、ため息をつく。  軽い気持ちで発したその神アニメ、神マンガ、神ゲームなどの称号で、ここ神が生まれる場所では、実際に小さき神として具象化され、日々生まれ続けている。  神が生まれること自体は特段悪いことではないのだが――  ふと、背後からやってきた何かが、私の裾を引っ張る。  振り返るとそれは、ほんの数か月前に生まれたばかりの小さな神だった。  小さな神は寂しそうな表情と共に徐々に姿が薄くなっていっているのが目に見えて分かった。  私はそっとその子を抱きかかえてあげるも、そのまま姿を消していくのを見守ることしかできなかった。 「…はぁ」  軽くなった腕の中に名残を感じながら、私は再び大きなため息をついた。  生れたばかりの神を支える事を託されている私にとって、この瞬間がなによりもつらかった。  そして、現代日本における神にはこの発生と消滅の感覚が短いものが多すぎるのだ。  これは神という存在の価値が軽くなっていくことに他ならない。  このままにしておくわけにもいくまい。なにか解決する方法はないものか、試行錯誤を繰り返していくしかないのである。
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