もっと魂を!もっと魂でぶつかってください。

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 雨の日が続く6月のある日、テレビから流れてくるニュースは、理不尽に思われたが「再審却下」と言う知らせであった。  検察は意地でもこの男を死刑にしたいようで、私には人間として大きな間違いが生じていないかと検察関係者に問いかけたかった。  死刑囚にさせられたその裏には、拷問による自供、昼夜問わず虫けらを扱うように追いつめられた現実、人として全ての限界を超えさせている。 さらにその取り調べ時間は、毎日十四時間にも及び、時には十七時間にも達している。それが休みなく何か月も。  これが本当に人のすることだろうか?  これは人間のすることではない。人が人にすることではない。   一人の巡査部長が巧みに企てた数々の事件から学んだ教訓(拷問など是が非でも犯人に仕立て上げるテクニック))を、部下たちが真似ている。 ところがその中には多くの冤罪も含まれている事も承知で在る。 卑怯な手段を使っていることも承知で在る。 内部告発をすれば即逮捕となる。  無実の人を在りもしない証拠をねつ造して、何人もの人を死刑にしている。 誰だって何もしていないのに死刑囚にされれば黙っていられない。そして一人の悪徳巡査部長の企みであることが判明し、すべて無罪となった。神は知っていた。  そして今も、 その刑事部長の門下生がまた新たに同じことを繰り返そうとしている。 無罪かも知れない男を死刑にしようとしている。  証拠なんか簡単に作れる。 被疑者を昼夜追い詰め眠らせないで、さらに追い詰め、血液を採取することなど簡単に出来る。言わば盗血である。  その血を被害者の遺留品に擦り付ければれっきとした強力な証拠になる。 そうして白状させる手段もあるし、ねつ造することだって簡単である。  全て巡査部長が企んだ思惑が部下たちに伝わり、それが根幹であるようにこの事件は感じさせられる。    表彰状を貰いたかったのか、給料を上げて貰いたかったのか、そうすることが楽しかったのか、生き甲斐だったのか、名誉だったのか、憂さ晴らしだったのか、私にはわからないが、この男、後にたくらみがばれて二階級降格され、交番の巡査になり、やがて脳溢血で急死したらしい。   実に愉快な話である。天罰である。 人はこうでなきゃいけない。 人に害を与えた輩は自らも苦しんで苦しんで、一生を終えなければいけない。  
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