3人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
目の前にいる貴方が好き。
眼鏡の奥の目、少し長い前髪、イライラするとクシャッと前髪をかき上げる仕草。
全部、好き。
でも、貴方は知らない…。
ただのクラスメイト。
話す事も関わる事もほとんどない、
ただのクラスメイト。
二人だけの教室の中で、イライラした仕草で私のことを見下ろしている。
「ほら、まずは…言うことがあるんじゃないの…。」
深く息を吐いてから、おでこを机にくっつけながら彼に促されるまま言葉を発する。
「この度は、クラス委員長である宮原の…宮原様のお手間をとらしてしまって申し訳ないです!」
「…良くできました。じゃぁ、始めるか…。」
鞄から教科書とノートを取り出した。
「本当にごめんね、宮原もテスト勉強しなきゃいけないのに。」
「いいよ、僕は帰ってからやるし。まぁ、教えるのでも勉強になるし。てか、鳴瀬はマジで頑張らないといけないんだろ?」
「そう、そうなの!!今回、赤点取るともぅいろいろまずいんだよね。で、先生に相談したら宮原に家庭教師をお願いしてくれたんだよね。」
「…はぁ、加藤先生は女子に甘いからな…。」
深いため息の彼を尻目に自分の顔がにやけているのが分かる。テストがやばいのは本当だけど、彼に教えてもらえるように持ってたのは秘密にしなきゃ。
「でも、あの先生なら自分で教えるっていいそうだけどな。」
「それは…言われたよ…。でも、加藤エロそうだからさ…。」
「まぁ、加藤先生と二人きりはたしかに危なそうかも。じゃあ、まずは数学からやるか。」
最初のコメントを投稿しよう!