序章

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ヨハンソンは、ジッパー付きのビニール袋に入れられた手帳を、テーブルの下から私の手のひらに押し付けて寄越した。 「分かってる。君には散々世話になった。これはささやかながら私の感謝の気持ちだよヨハンソン。受け取ってくれ」 私は相場を大きく上回る総額千ドルに及ぶ紙幣が入ってすっかり分厚くなった封筒を、さっき私がそうされたのと同じようにテーブルの下からヨハンソンに手渡した。 「なあヨハンソン。これでお互い用は済んだわけだが、まだ話し足りない気分かな?もしもそうなら、子供の歯の矯正の話しでもしようか?それとも評判倒れのこの店の星の数の正当性について議論でもするかい」 「いや、お互いそんな暇はないはずだろう」 「では、満場一致という事で退散するとしようか」
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