空がおちてくる

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   「ぅおッ。なんやこのかいらしー板……!」 「小椋さんのアイデアが商品化されたそうです」 「あいつ。ハイエンドよりミニチュア職人の方が向いとるんちゃうか」 この冬、柊と俺の戦績が周知されるにしたがって、FlyHighのカスタムが今までにないほど注目を浴びているそうだ。なんであんな田舎に工房を作ったのか謎だったけど、ハイエンドモデルを使用するようなライダーはこだわりも凄い。世界各地から碓氷村までやって来て、計測から試走からを村の中で賄う。美味しい料理を泊まりがけで堪能する、オーベルジュみたいな位置付けにするのが柊の狙いらしい。なんかオシャレだわー。 「平昌まであと一年……小椋一人では捌き切れんから、この大会が終わったら野村も碓氷村や」 「才賀さんは」 「俺は柊とお前を平昌でキッチリ飛ばせるまで動かん。嬉しいやろ」 「はいっ!」 才賀さんはカカカっと笑った。そして頭をワシワシ撫でつけてきた。 「まずはお前からや。ここで連盟のおっさんどもの目を釘付けにしたれ」 「頑張ります」 五輪代表への道は険しい。前回五輪メダリストで、且つ毎シーズン結果を残し続けている柊と違って、俺はデビューシーズンの一戦一戦全てに平昌が掛かってくる。ここが通過点だと言った柊の言葉を噛み締めた。
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