空がおちてくる

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  テントの中でも柊はやっぱり甲斐甲斐しい。おにぎりを一口かじるごとに、まるで自動のドリンクホルダーのように味噌汁を持つ手が伸びて来る。火傷するなとかよく噛んで食べろとか、3歳児のお母さんでもここまでしないだろうってくらい手を掛ける。 「柊、有り難いけど大丈夫だから。柊もちゃんと食べて。もう仕上げのタイミングなのは柊だって同じだろ」 「んー?俺はいつもこんなんだろー」 嘘つけ。言ったそばからもう、次に何の世話が必要かと考えてるだろ。そしてやっぱりすかさずお茶を差し出して。 「……肩が痛い」 「えっっ!どこ!練習で痛めた!?背中は?肩甲骨、いやそれより安藤さん、んんっ」 立ち上がったところを引き寄せて、ちゅ── 「っっ」 「嘘、どこも痛いとこなんてない」 「タイチぃ……!」 ぎゅうっと抱きしめて、柊の匂いをクンクン嗅ぐ。ご主人さまはいつも慌てず騒がず、俺を導いてくれるだけでいいんだ。 「落ち着いて柊。俺、ちゃんとスタッフの皆さんの言うこと聞いてきたから。飛べる体、ちゃんと作って貰ってるから。柊も信じて、どーんと構えてて」 「ホントにどこも痛くない……?絶対……?」 「うん、ごめん。今度はもっと違う嘘つく」 「嘘はダメ。次は許さん」 「うん、わかった」
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