氷の壁

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  モントリオールからニュージーランドまで丸一日掛けて移動。比喩でもなんでもなく丸一日。飛行機は大好きだけど流石にしんどい。 「日本からカナダもうんざりしたんですけど、北半球から南半球って半端ないですね……」 オークランドからワナカまでまた飛行機で、そこから更に車で1時間。雪山への道のりは遠い。 「碓氷太一くん、凄いライダーですね。デビューから無敗。五輪ビッグエアーの初代王者は間違いないって」 「そうなると嬉しいけどどうかなぁ。キッカーもコンディションも会場によって様々だし……」 タイチはホームである竜の背を基準に飛ぶ。モン・トランブランやル・マシフは竜の背と似た、高さと距離が生み出せる構造で相性が良かったからクワッドコークを成功(メイク)出来たんだと本人にも自覚がある。事実、他会場では1620をメインに戦っている。 ハーフパイプも条件は同じだ。結局は自然が相手。同じ人工物が雪質や天候でまるで違う表情になる。構造自体も会場によって違う上、五輪のハーフパイプは過去大会に於いてすこぶる評判が悪い。平昌もどうなるか。 が、カードローナは比較的EXTREMESや碓氷村のハーフパイプに近い。銀を獲ったマウントホッサムとコンディションはそう変わらない。期待は出来ると思う。
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