301人が本棚に入れています
本棚に追加
森くんからは、控えめにではあるけど、今回は公費で参加する大会だから自重するように釘を刺された。ちゃんとわかってるもん。ヨーコさんからも耳にタコが出来るほど言われたもん。でもタイチはうちの所属なのに知らん顔なんて不自然だ。
「知らん顔はしなくていいですが、大人の対応をお願いします。ミーティングのあと時間が取られますから部屋番号を」
「タイチの部屋は?」
「雄大くんと曽我くんの三人部屋です」
「……………」
「訪問はダメですよ。柊さんの部屋にお泊まりも」
「……………」
わかってる。日の丸を背負って送り出して貰った以上、お行儀よく規律正しく。俺だってそうした。何も意識せずそうして来た。ちゃんとわかってる。
「あ、強化部長がお呼びですね。平昌は有力選手は前倒しで内定が出るそうです。ボスお得意の外交、宜しくお願いしますね」
「はぁ~~い。あ、カズさんの事お願い。固まってるから」
「了解しました!」
うん。ちゃんとわかってる。俺はFlyHighの顔で日本の顔にもなり得る男。五輪5大会連続出場とメダルの期待を背負った男。所属ライダーであるタイチの今後の為にも、礼儀正しくニッコリ微笑んで見せますよ。
最初のコメントを投稿しよう!