氷の壁

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  予定外の外交から解放されたのは一時間半後だった。 部屋でぐったりしているとチャイムが鳴った。 裸足で走って行ってドアを開ける。 タイチ! ドアが閉まると同時に首に巻き着くように腕を回した。 タイチは何も言わずに俺を抱き上げ、ずんずんとベッドまで進んで倒れ込んだ。 「柊っ……!」 10日振りの声。10日振りのキス。10日振りの匂い。タイチの匂い。頭を抱え込んでうりうりしてやる。 「たいちぃ~~会いたかったぁ~~」 「俺も。寂しくて死ぬかと思った」 「俺よりマシだっっ!おまえなんか美味い牛肉とか牛肉とか牛肉とかっ」 「牛肉の話はしてない、んんっ」 首すじをハムハムし、パーカーの裾に手を滑り込ませる。なんでアンダーをピッチリ着込んでんだっ。あぁもどかしい。もう一気に剥ぎ取って。 と思ったら制された。
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