氷の壁

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  翌日は調整日。ロジャーとのミーティングにFlyHighのミーティングに偉いさん達との雑談に。観戦しに来ただけなのに無駄に忙しい。合間にトレーニングの様子も見るけど、タイチは本当にストイックに集中している。ように見える。頭の中で妄想爆発させてたら鼻血噴くぞ。 「太一くん、真面目ですよねぇ」 「森くん……急にスパルタになってない?さとり世代は褒めて伸ばすんじゃなかったっけ?」 「勿論。褒めるべきところは褒めちぎってますよ。あの真面目さも褒めまくりです。でも……あの全日本のジャージに袖を通した姿を見たらゾワゾワしちゃって。僕らは凄いものを碓氷村から……竜神様から預かってるのかも知れないって」 今 タイチが走る。 タイチが飛ぶ。 その姿に夢を見る。 2018年2月 ───── 世界の檜舞台で飛ぶ姿を思い描く。 「ここで決めたら平昌への切符は手の中です。柊さんもボスとしてストイックにお願いします」 「了解」 鼻先にぶら下げた人参は不真面目極まりないが。まぁあいつの事だ。集中してるうちに忘れるだろ。
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