氷の壁

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  しかしタイチのやつ。雄大はもういいけどクロードとまでガッツリ打ち解けてないか。あの攻撃的なクソガキがすっかり懐いてやがる。カズさんとも割とすぐに慣れたみたいでそこはホッとするが。この一年で対人関係がかなりスムーズになった。相変わらず無愛想は無愛想なんだけどなー。 カードローナの天気は良好。明日の予選、明後日の決勝まで持ってくれるといいけど。 「ロジャー。解放されたの?」 「今回、僕は応援に来ただけだって言ってるのに……」 「レジェンドは引退してもレジェンドなの」 「シュウ、ユーダイにスロープスタイル勧めたの?」 「うん。村のコースでよく遊んでるんだけど、あいつただ飛ぶだけより障害物(ジブ)使ってテンポ作って飛ぶのが巧いんだよね。向いてると思う」 「うん……まだ若いし、道を探って行くのはいい事だよ」 そう。あいつらはまだ若い。もう間もなく大台に乗る俺とは違う。 今回派遣されたメンバーも、タイチ(21)で最年長だぞ。次が雄大。あとはクロード以下、サブメンバーもみんなピッチピチの十代さ。 「俺、あの中に入って行けるかなー。やっぱ潮時考えちゃう……」 「何言ってんの!シュウには、五輪はともかくまだまだEXTREMESの華になって貰わないと!数字が稼げない!」 「タイチがいるじゃん。ハリーも」 「ハリーの事は言わないで……!いつ怪我するかと心配で心配で」 「奥さんの気持ちがわかって良かったね」
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