氷の壁

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  若くて可愛い後輩たち。自分のトシは悲しいけど、悲しいばっかりじゃない。俺もいつかロジャーのように、デッカい器のカッコいい兄ちゃんになろうと思う。 「トップ4を占める勢いで飛んでこい。怪我すんなよ」 「はい!」 僅かに視線を残したタイチの背中、そして若い世代の背中を見送る。 みんな頑張れ。 精一杯飛んで、ここに降りて来い。 「柊も大人になったもんやなー」 「才賀さん」 「 “SNOW JAPAN” ……日本はどんどん強なる。平昌では何個メダル獲れるか楽しみや」 「俺とタイチで二個確定」 「ほ~~頼もしいのぉ」 タイチの滑走は12番目。大丈夫。いつも通りで大丈夫。 俺は目を離さずに見ている。 ここで見ている。
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