氷の壁

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  雄大の二人後がタイチ。トップ5じゃなく、明日の最終滑走を狙って飛ぶ。俺に追いつくために ───── 今日も決める。 「タイチが出てくると湧くねー」 「ねー☆」 今やタイチの注目度は前回五輪銅メダルのクロードを凌ぐ。俺も凌がれてる。夏に発売されたEXTREMES’17のDVDの売れ行きは好調で、ポストカード10枚付き限定版はプレミアがつくほどの人気であっという間に完売したらしい。あの東海林さんがタイチにサインを求めていて面白かった。 「さあ来たよー!」 グーフィースタンスから大きく弾むようにドロップイン。一本目は定番のメソッド。 「高い!綺麗!カッコいー!シュウとそっくり!」 「次、1440……コンボ……」 どうか……!無事に降りて……!回る……回る回る! 「決めた!リップギリギリ、ヒヤヒヤするね~~怖いよね~~」 「自分だっていつも激突寸前のギリギリだったじゃん」 「1440のコンボ、もう余裕なんじゃない?」 「そんな事ない、今日は特に気合が」 あ、ダブルマックツイスト!ロジャーの代名詞も決めた!最後5本目、まだ高さがある。1260!よし!完璧! 「あれ……6本目……行くの?」
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