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動かない……
タイチが動かない……
動かない……!
「あかん、意識がなさそうや。救護班」
「ケン、待って。担架が降りて来た……急いで……!」
全身がガクガク震える。でも、体が、腕が、前のめるようにガードに、ボトムに向かう。
「たい……タイチ……!」
「駄目だシュウ!コースにはコーチだって入れない!」
ロジャーに制されても体が前に進もうとする。ガードを押しのけ、腕を振り払おうとする。
「離してロジャー……タイチがっ……」
「大丈夫、落ち着いてシュウ……落ち着いて……!」
抱きすくめられた腕の隙間からハーフパイプを凝視する。
血が…………
氷のボトム……
真っ白な氷の壁の底にタイチの血が染み込んでいる。
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