氷の壁

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  救急車のサイレン。 揺れが酷い。 血を拭き取られたタイチの顔色がおかしい。こんなのタイチじゃない。まるで土色の人形みたいだ。悪趣味なつくりものみたいだ。 色を失った唇……唇が…… 「柊さん!何か言ってます、話しかけて!」 「……………」 たいち。 たいち目を開けて。 俺を見て。 「太一くん!柊さんはここにいますよ!大丈夫です!ちゃんといます!」 「……しゅ、う……」 「そうです!ここに居ますから!」 「……しゅう、ごめ……」 「…………!」 「し……ぱいした……」
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