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日に日に。
碓氷村の寒さも厳しくなって来た。ハーフパイプは人工雪で整備され、才賀さんもヒロさんも漸く飛ぶ事を許可してくれた。
真っ白な氷の壁……それはやはり大きくて。
「怖くない?」
「いつも怖いって言ってるだろ。でも、それを克服して攻略すんのがこの競技なんだからしょーがない」
「うん……気をつけて」
「タイチもな」
グーフィースタンスで左から入って行く。
弾みをつけてドロップイン。スピードを貯めて一本目はメソッド。いつもと同じ俺とタイチのルーティーン。この後どんなスピンで飛ぶとしても、最初は必ず ───── この、スノーボードってカッコいいだろ?と言わんばかりのジャンプでアピールするんだ。
高さを。
しなやかさを。
そしてこれが俺 ───── 『喜多川柊』だって事を。
碓氷柊だけどね。
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