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目一杯回りたいけれど、軽く流すだけに留めて。
とにかく感覚を少しずつ掴んで取り戻して行く。
やっぱり好きだ。
ここで飛んで回って ───── この冷たい空気を裂いて、宙に投げ出されるこの瞬間が堪らなく好きだ。
とにかくミスなく無難に。フィニッシュラインの向こうで待っていてくれたみんなは、拍手と笑顔で迎えてくれた。雄大は飛びついて来て、デッカい体でぎゅうっと抱きしめて来た。
「いちいち泣くな」
「だってぇ~~」
「ほら、次はタイチだぞ」
みんなでハーフパイプの天辺を見上げる。タイチは大きく手を振ると、俺の軌道をなぞって降りて来る。
翼が ───── 再び開く。
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