空がおちてくる

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  そして今朝も、柊は甲斐甲斐しく俺の世話を焼く。『本番』の朝はいつもそう。 笑顔を絶やさず平常心を装っているようで本当は俺より緊張して。だって柊、風呂上がりに体を拭くのから始まって靴下まで履かせてくれようとする。普段から優しいし甘やかされてるけどどう考えてもやり過ぎだ。これをやり過ぎだと気付かない所がもうまさに脳内シナプスの脱線中なんだ。 が、そんな柊を見ていると癒され、非常に落ち着く。脱線中の柊を見て落ち着くなんて俺ってまったく性格悪い。でも緊張とかより愛おしさが込み上げて止まらなくて、柊の為なら、この人と一緒なら何でも出来るって思うんだ。 背中から抱きしめて髪に頬をスリスリ。いい匂い。好き。 「タイチは甘えんぼだなー」 「うん、甘やかして」 もっともっと。 振り向きながら合わせてくれた唇は甘いけど、冷えてる。指もだ。 俺、表彰台に乗ってロジャーからメダルを掛けてもらう場面を柊に間近で見ていて欲しい。だから頑張る。
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