サクラの木下で

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「春くん、大学行って何するの?」 「はぁ、そんなの決まってるだろう。勉強」 「それは、そうだけど・・・。私が言ってるのは、そうゆう事じゃあなくって」 隣にいる私の方を見て、クスリと笑う。 「バーカぁ。わかってるよ!」 あの時と、同じ・・・。 春くんの笑顔。 このまま春くんに、会えなくなるなんてイヤぁ。 私は、ずっとその笑顔を見ていたい。 今まで、言えなかった気持ち『好き』って伝えなきゃぁ。 そう心に決めて、声を出したそのとき春くんの声と、私の声が重なり私の声がかき消された。 「あっあの・・・」 「あのさぁ、叶にずっと言いたかった事があるんだぁ」 えっ?まさかぁ・・・告白!! 「なっなに・・・言いたいことって?」 ドキドキしながら、また期待している私。 「ありがとうなぁ」 はぁ・・・? えっ・・・となんで、『ありがとう』? 私の聞き間違えかなぁ。 もう1度、春くんに聞き直した。 「ありがとう?」 「うん。まえに教えてくれただろう。3年に1度咲くサクラの話」 「あっうん」 「俺、ずっと好きだった人がいて、どうせ告白しても、振られるだけだと思ってたから、この気持ち俺だけの中に、閉まっておくつもりだったんだ。だけど、その話を聞いて3年に1度しか咲かないサクラが、今咲いてるって思ったら、何だか勇気が出てきて、俺その人に告白したんだ」 春くん、告白してたんだ・・・。
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