一歩進んで二歩下がる

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 「あれ、ともさん!どうしたんですか?」  いや、そこじゃないでしょう。どうして僕がここにいるのか考えてよ。  「忘れ物したでしょう」    「わざわざ届けてくれたのですか?でも?あれ、忘れ物って?」  「上がるね」  「あ、はい。もちろんです」  部屋の中を見渡してみた。整理整頓ってこれが見本!みたいな部屋だった。そこで見つけてしまった写真立て。  「えっ!これ?」  「あ、はい。ともさんの写真です。ところで忘れ物って?」  会社の運藤会の借り物競争ゴールで眼鏡を手にして笑う僕がいた。そうだった「眼鏡」って紙に書いてあって、誰かの眼鏡を借りたんだった。あの時から僕のことを見ていたの?そんなに長いこと見ててくれたのに、忘れ物に気が付かない?当然「僕」のことなのにいつになったら気づくの鈍ちん。  「あの時の......眼鏡だ」  「はい、私の眼鏡です。とても綺麗な方が眼鏡を貸してって微笑んでいて。震えました。この写真はゴールラインで写真を撮っていた中岡さんが。私の眼鏡が写っているからとくれました」  あれ?なんかカチンときた。何?僕は眼鏡のオマケなの?     
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