612人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
「あれ、ともさん!どうしたんですか?」
いや、そこじゃないでしょう。どうして僕がここにいるのか考えてよ。
「忘れ物したでしょう」
「わざわざ届けてくれたのですか?でも?あれ、忘れ物って?」
「上がるね」
「あ、はい。もちろんです」
部屋の中を見渡してみた。整理整頓ってこれが見本!みたいな部屋だった。そこで見つけてしまった写真立て。
「えっ!これ?」
「あ、はい。ともさんの写真です。ところで忘れ物って?」
会社の運藤会の借り物競争ゴールで眼鏡を手にして笑う僕がいた。そうだった「眼鏡」って紙に書いてあって、誰かの眼鏡を借りたんだった。あの時から僕のことを見ていたの?そんなに長いこと見ててくれたのに、忘れ物に気が付かない?当然「僕」のことなのにいつになったら気づくの鈍ちん。
「あの時の......眼鏡だ」
「はい、私の眼鏡です。とても綺麗な方が眼鏡を貸してって微笑んでいて。震えました。この写真はゴールラインで写真を撮っていた中岡さんが。私の眼鏡が写っているからとくれました」
あれ?なんかカチンときた。何?僕は眼鏡のオマケなの?
最初のコメントを投稿しよう!