一歩進んで二歩下がる

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 「なななっ、ないででっす」  だよねえ、ここは想定内か。いきなり生じゃ、ハードル高そう。別に僕はいいんだけれど。うん。ここはフルコースってことでOKにしたいけど、明日も会社だから時間もかけられない。今日は違うアプローチ。  「じゃあ、また今度ってことで」  「かかかか、かえってえ、しまうんですかあ!?」  「あ、帰らないよ。終電終わったの知ってるでしょ?ね、触りっこしよう、舐めてあげよっか?僕、口んなか擦られるの好きなんだよね」  「ぬわっ、わたた」  「えっと……さっきから何を言ってるのか、よく理解できないんだけれど」  小学生かって思うくらいに初心でかわいい。中学生の時の僕より確実に純情。これって僕色に染めてくださいって神様からの贈り物だよね。ああ、素敵。  鴻池のジッパーに手をかけたら、上から手をおさえられた。え?拒否られているのかな。  「ん?どうしたの?だめ?」  上目遣いで甘えてみる。  「そんなっ、ともさんみたいな綺麗な人がっ、こ、こんなっ」     
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