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「うぁあっ、あっ、あのちが、てっ、す、すみませんっ」
ものすごい勢いでコメツキバッタのように頭を下げる。いやいや、そうじゃない勘違いしないで欲しい。こっちがいきなりキスしたのに、どうして僕が謝られているんだろう。君が僕をストーカーしてたから?だったら伝えてあげなきゃいけない、僕だって君のストーカーだから。
「待って、どうして謝るの。おかしいよね、すみませんって?」
「あの、本当にすみませんでした。あの、怒っていらっしゃいますよね」
「え?怒ってる相手にキスしたりしないよ?」
「ええっ、き、キス!?ふあぁつ!それ、そんな」
「ん?」
「私てっきり噛みつかれたのだと思っていました」
そりゃ多少がっついていたかも知れないけれど、噛みついてはいないよね?舌だって入れてないし、軽いキスだったはず。
「まさか!いきなり人に噛みついたりはしないよ」
「......え?それでしたらさっきのは何なのでしょうか?」
「初めましてよろしくお願いしますって、挨拶代わりの軽いキスでしょう」
「えっ?!」
「あれ、何赤くなっているの?まさかあれがファーストキス、なーんてね」
その瞬間に目を白黒させて、可愛いったらありゃしない。そしてさらに顔が赤くなる。ええっ、本当にあれがファーストキスなの?
「......はぃ」
蚊の鳴くような声で「はい」もうこれはドストライク。この可愛さ、他の人に喰われる前に行動起こさなきゃ男じゃない。畳みかけて手に入れちゃいたい。
「ねえ、僕のこと好きなんでしょう?だったら付き合っちゃう?」
「え?」
「よし、決定ーーー!じゃあさ、何て呼んで欲しい?僕は、ともって呼んで欲しい」
「は!?はい?え?」
「立ち話も何だから、取り敢えず僕の家へどうぞ」
手をとると近くに寄せるように引っ張った。そして頬に軽いキス。
「ああっ!あのっ」
こんな可愛い反応、嬉しくて仕方ない。僕が一から教えてあげる。僕のストーカーさん大人しく言う事を聞いてね。君は僕のストーカーから僕の恋人になったんだよ、そろそろいろんなことに気が付いて。
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