ストーカーは誰

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 会社ではいつも俯きがちだから、僕が通っても足元しか見えていない。僕は君の後ろのすぐ後を触れる距離で通るのに。  携帯の機種は僕と同じ、お揃いにしてくれたのかなと嬉しくなる。  今日の昼は社食だった、知っているよ総務の轟さんに誘われてたのは。浮気しちゃだめだよ、きちんと僕を見ていて。  日曜日の午後に駅前の本屋で立ち読みをしていた。その本のタイトルに驚いた。盆栽の本なんて誰が読むのか不思議だったよ。  もちろん君が手にしていたあの本と同じものを僕の書棚にも収めたよ。今度君のことをもっと教えて欲しい。  帰り道、後を付けてくる君に見えるように街頭の下でネクタイをゆっくり緩めで見せる。寒いけれど、そんなことより君に見せたい僕の肌。「首筋が白くて綺麗でしょう?」少しだけ歩みを遅くしてみる。ねえ、もうそろそろ僕の気持ちに気づいて欲しい。  ストーカーは君じゃない、本当は僕のほうだから。  ドアに手をかけた時、離れていく視線に寂しくなって涙が出そうになる。どうしたら気づいてもらえる?僕の育ってしまった恋心。いつも見ているつもりなら、そろそろ見えてもいいんじゃないのかな。  隠れているのは君ではなくて、表に出したい僕の気持ちだけ。  耐えられなくて慌てて君を追いかけた。今日こそ勇気をもって告白しよう。     
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