鴻池竜二

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鴻池竜二

 小さい時から何故か兄の一虎が持っている物が欲しかった。同じおもちゃを二つ買って与えてもらってもどうしても兄貴が持っている物の方がよく見えた。その理由今でも分からない。そして、いつでも「竜二が欲しいなら」と簡単に手を離す一虎がいやだった。たった二つしか違わないのに兄貴面しやがってと思っていた。もっと悔しがって欲しがればいいのにと思っていた。だったら一虎に手に入らないものを全部手に入れてやろうと思っていた。  「ねえ、小泉さんと付き合う事になったよ」  知っている一虎が同じクラスの小泉さんにもう半年片思いしていることを。だからあらゆる手を使って手に入れた。中学一年の時に感じたあの優越感が忘れられない。  「そう?よかったね。小泉さん優しいし、可愛いよね」  けれどもその優越感は一瞬で消えた。え?諦めるんだ。そう思った瞬間に小泉さんなんてどうでもよくなった。適当に付き合って二週間で別れた。  高校、大学と一虎の好きな人を見つけては先回り。恋愛初心者というより恋愛未経験のあいつは「なぜか竜二と好みの人が同じだよな」と笑っていた。     
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