裁縫部

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僕は今年の夏から裁縫部に所属することになった。 裁縫なんて学校の授業でしかやってこなかった僕がこの部活に所属した理由は、1つ上の学年の佐々木先輩のことがどうしても気になるからという不純な動機だった。 例を出せば、家の方角が一緒で、学校に来る途中見かけると佐々木先輩は高確率でスカーフをつけ忘れている。その度に佐々木先輩は先生に注意されて、まるでくしゃみのように細かく、ごめんなさいっごめんなさいっ。と謝った。 僕はいつでも、スカーフ、忘れてますよ。と教えることができたのに、教えなかった。勇気がないのはもちろんそうなんだけど、あの、くしゃみのようなごめんなさいが可愛くてまた見たいと願うからだ。忘れてますよなんて言って、取りに帰ってしまったらと思うと、そんな恐ろしいことはできなかった。
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