ー Sweet Honeymoon ? ー

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ー Sweet Honeymoon ? ー

 既に、スイートルームの中は太陽の光で満たされていた。  アメリカ時間でもうすぐ正午。雲一つない青空の頂で輝く太陽が、大海原へ燦々と眩い光を注いでいる。  日本を出発してから13日。天候の神を味方につけて、青く澄んだ空の下、広大な太平洋を優雅に走る大型船の航海はすこぶる順調だった。明日の朝には計画通り、西海岸の大都市ロサンゼルス港に着岸する予定。贅沢の限りを尽くしたハネムーンも、後18時間で終了だ。  ブラックスター社が所有するアメリカ船籍の豪華客船"レディー・ムーン"号は、親会社が世界屈指のIT企業だけあり、装備も最新技術が散りばめられた次世代型の客船で、海のステルス戦艦との異名を持つ。とはいえ、船そのものはまさに豪華絢爛。純白の船体には美しい女神の横顔が記章として描かれ、夜は満月のごとく黄金色の輝きを放ち海上の闇を照らす。   世界屈指と名高い客船の入り口・グランドロビーは、白大理石と金を基調に造られた4層吹き抜けの大ホール型で、その豪華さはベルサイユ宮殿とそう大差ない。広大な船内にはカテゴリーの違うリッチな客室が設けられているが、中でも特に、たった1部屋しかないエクストラ・ロイヤル・スイートルームは色んな意味で別格だ。  天井高の壁は半面が緩やかに湾曲したガラス張り。その奥には海上であるのを忘れるぐらい緑豊かなテラスが広がっている。一面に青い海を望むガラスからは眩い日光が燦々と差し込み、イギリス王室ご用達の高級家具で飾られたリビングでゆったりと過ごす船旅は、まさにこの世の贅沢を凝縮したような、優雅で味わい深い至福の時間………に、なるハズだった。 「くぅッ……あっ、ぅあっ、レンッ……!」 「ねぇソウ、僕たちが、繋がってるトコ……見える?」  荒々しく肩で呼吸しながら、三堂奏真(みどうそうま)は歯を食い縛ってせり上がる射精欲を抑え込んだ。限界なんかとっくに超えていた。中を擦られる刺激に、痛いぐらい硬く膨張した分身には血管が浮き出し、膨らんだ先端の小さな口から忍耐の蜜がトロトロと溢れている。その様子を悠然と見下ろし、体の中心で容赦なく腰を振って攻め立てるのは、世界中の捜査機関が追いかける国際指名手配犯だ。美しくも嗜虐的な笑顔を、奏真は渾身の力で睨みつけた。 「あッ……んぅッ……くそっ、この変態っ!」 「その、変態に、こ~んな事されて……気持ち良くなってる君は、変態じゃ、ないのか……な!」 「ひあっ」  尾てい骨に響く程強く腰を打ちつけられて、奏真は大きく仰け反った。体内の肉壁をこするレンの熱い塊が、最奥の敏感な箇所を突き上げたのだ。背筋を駆け抜けた強烈な痺れに、奏真の抗議も完全に威勢を失っている。 「はっ、ああっ……レンッ……もっ……いい加減にっ」 「僕も、そうして、あげたいけど……ソウの、トロけてる顔が……凄くエッチで、全然、おさまんないんだよ……ハァ、ホント、可愛い奥さんで困るな」    したたかな笑顔を睨んで、奏真は歯ぎしりした。せめて両手が自由なら、頭上で憎たらしいぐらい余裕たっぷりに微笑む男の首を絞めてやれるのに。だが今は、レンによってほとんど身動きが取れない体勢のまま拘束されていた。柔らかいクッションが自慢のイタリア製1人用ソファ。そのひじ掛けに、大きく開いた足が乗せられている。両足首に巻きついているのは、カーテンを止めるヒモと両方の手。  分娩台に乗る妊婦さながら、無防備に秘所をさらけ出すこの格好だけでも屈辱的なのに、互いの体が繋がり、激しく出入りしている様子を見せられては抗議したくもなる。けれど感情とは逆に、貪欲な体は注ぎ込まれる快感を(むさぼ)っていた。奏真は体の中心でギンギンと脈打つ甘美な快楽に耐えながら、射精欲を抑え込んだ。こんな格好で果てるなんて絶対にイヤだ。 「レンッ……あッ、あッ、後で覚えてろ……!」 「怒ってる顔もキレイだな……ねぇソウ、昨夜みたいに、オネダリ、してみせてよ……ほら言って……中に欲しいって……言えたら、最高に、気持ちよく、してあげるから」 「誰がッ……言うかッ……!」  涙目で頭上を睨みながら、奏真は奥歯を食いしばった。面長の輪郭にバランス良く収まる目鼻立ちと、桃色の唇が程よく調和した奏真の精悍な顔も、今は快感と苦悶に歪んでいた。清潔感を引き立てる黒髪も汗ばんだ額に張りつき、突き上げられるたび前後左右に揺れる分身からは透明の蜜が滴って、鍛えられた腹筋をねっとり濡らしている。
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