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細身ながら均整の取れた筋肉質の体も女性から見れば十分に魅力的だが、凌辱を続ける頭上の男と比べれば、残念ながら見劣りするのは否めない。
ダビデ像を思わせる筋肉質の体で奏真を愛しげに犯す国際指名手配犯―――アンドレ・ヴィドック=八代連は、苦痛と快楽の狭間で悶える恋人にうっとりと目を細めた。
日焼けとは無縁の澄んだ白肌に、ほんのり赤く色づいた形のいい唇と高い鼻梁が織りなす顔は、海の怪神さえ虜にするほど美しい。緩いウェーブのついたチョコレートブラウンの髪は日光で宝冠のように輝き、玉の汗が滲む首筋からは何ともいえない色香が溢れている。甘やかなフェロモンをムンムンと放ちながら、奏真の鼻先まで美顔を近づけると、レンはねだるように訴えた。
「ほぉら、ソウ……そんなに可愛い抵抗、続けて、ないで……早く2人で、気持ちよく、なろうよ」
「はぅっ……絶対にぃ……あッ、あッ、言うっ、あッ、言うもんかぁ……!」
「どうしてもダメ? じゃあ、仕方ないな……」
残念そうに、だがこの上なく嬉しそうに、レンが暗く嗤った。濡れた赤い唇が、思わせぶりに言葉を止めた次の瞬間。
「言ってくれないなら、言わせる事にす~……る!」
レンの熱い塊が、奥の最も敏感な箇所を突き上げた。
「ひッ……ぁぁああああッ!」
奏真は大きく仰け反った。強烈な快感の波が脊髄を駆け抜けたのだ。感電したかのように痙攣する体が、レンの硬くて熱い塊を締め上げ、勝手にグイグイ奥へと飲み込んでいく。完全に理性が飛んで空っぽになった頭に響くのは、淫らな自分の喘ぎ声と、艶っぽいレンの吐息だけ。
「あぁ締まるっ……気持ちいい……ソウはここ、好きだもんね…… 君のイイところ、もっとたくさん、擦ってあげるよ」
「あぁッ、レンッ、あッ、ああッ……!」
波打つような快感が、痺れた体をトロけさせる。もう、抵抗すらできなかった。奏真は荒い呼吸を繰り返しながら、乱暴に注ぎ込まれる快楽をむさぼった。今やすっかり慣らされた卑しい体は、吐精したいとばかり分身を大きく膨らませ、もっと欲しいとねだるように中でレンを締めつけている。
「うわっ……ソウっ、すごぃ……中が、搾り取るみたいに吸い付いてっ…僕もヤバイな……ソウ、我慢しなくて、いいよ……ほらッ、ほらッ、たくさん突いてあげるから……!」
「あぁッ、あぅッ、あああッ……レンッ、やめッ……やぁぁああああッ」
脳天まで容赦なく突き上げてくる強烈な快感。弓なりに反り返った体を震わせて、奏真は甘い悲鳴を響かせた。自由にならない体を捩り、激しいレンの責め苦から逃げようとする一方で、限界まで張り詰めた分身は口先から喜びの涙をトロトロと溢れさせている。
既に、考える力すら奏真はなくしていた。いや、考える必要なんて最初からないのかも。いつだって求めるものは1つ―――レンだけなのだから。
「僕も凄く気持ちいいよっ……あぁソウっ、イキそうだね……ハァ、中がビクビク痙攣してるっ」
「もッ、もぅダ、ダメっ、レンッ……ああっ、俺っ、ああっ、はぁあああッ」
濡れた秘所から淫靡な音がする。激しく腰を打ちつけるレンの熱い呼吸が耳を撫で、奏真は飛びそうになる意識を引き戻した。レンが優しく耳を噛んでくる。柔らかい舌が耳の奥まで入り込み、中をねっとりと舐め上げるこの音が好きだった。
切なげに囁く低い声も好きだ。
意地悪な微笑みも、
熱い眼差しも、
レンの全てが好きなのだ。
奏真は快楽の底へ落ちそうになりながらも、必死に意識を引き止めレンの声を聞いた。
「ソウッ、僕も限界っ……ねぇ言ってっ……僕が、欲しい?」
「あぅっ、レンっ、あああッ、レンがぁっ」
「僕が?」
「はあッ、レンっ……!」
「ちゃんと言わなきゃダ~メ……僕が?」
妖惑的な笑顔が見下ろしている。もはや、頭を満たしているのは快楽の極みに昇りつめることのみ。奏真は荒い呼吸の下から、淫らな欲求を口にした。
「欲しっ……ああッ、レンがっ……欲しぃぃぃッ!」
美しくも鋭いレンの目が、満足げに細まった。
「はい、よく言えました」
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