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「遥くん確か今日は午前中で帰ってくるんだっけ?」
洗面所で身支度を整えていると栞がひょこっと顔を覗かせる。
「確か今日はHRだけって入学式の日に聞いたし…午前中で帰ると思う」
教科書を配ったりとかするとか言ってたな。
「わかった。それじゃお昼用意しておくね」
「栞、今日も家に居られるの?」
「ううん、今日は昼過ぎから仕事。」
「…いつまで?」
「明日の夕方までには帰ると思うよ」
栞の仕事内容は知らない。けど数時間で帰ってくる事もあれば何日か帰ってこないこともある。出かける時間もまちまち。…たまに怪我をして帰ってくるから、たまに少し心配になる。…うん、少しだけ。
「それじゃ行ってきます」
「うん、いってらっしゃい」
栞はひらひらと手を振り、玄関まで見送ってくれた。俺が出かけて栞が家に居る時はいつもそうしてくれる。そのひと手間が本当に嬉しくて俺もいつも手を振り返してから家を出る習慣がついた。
俺は栞についてまだ知らないことばかりだけど栞と暮らすようになってよかった、と思う。
それから、ゆっくりでいい。栞のことをもっと知っていけたらいいな。そんな事を考えながら学校に向かった。
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