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HRで自己紹介やら教科書の配布やらが終わりあっという間に放課後に。これならひる前には家に着くだろう。 唐突だけど栞の作るご飯は美味しい。店で出せるレベルで美味しい。あ、家出る前に今日の昼は何を作る予定なのか聞いておけばよかったかな。 「なぁなぁ、天ヶ瀬ー」 前の席の…名前は確か 「東峰…?だっけ」 なんかすごいフレンドリー?って言うんだっけ?こういうの。 「そうそう!当分今の出席番号順の席らしいし、これからよろしくな!」 快活、活発。なんならはつらつといった単語が似合いそうな笑顔で手をこちらに伸ばす。握手だろうか。 「こちらこそよろしく」 笑顔には笑顔を。東峰の様なとはいわないけど笑顔で差し出された手を握った。 「と、こ、ろ、で!天ヶ瀬はこれからどうすんの?」 東峰は手を離さないまま何故かキラキラした目でこちらを見ている。 「これから?帰るけど」 いや、それより握手長すぎない?こんなもんだっけ? 「え!?もう帰んの!?」 「帰るよ」 「答えんのはやっ!即決かよ」 東峰はなんだか楽しそうに笑っている。って、それより手を、離して。 「ほら、買い物?して帰ったり?校内見て行ったり?付き合ってくれよー。今なら昼飯付き!」 クラスメイト、それも暫くは近い席。仲良くしておいた方がいいんだろうか。15秒程度考えた末 「俺は帰るから他の奴誘ってよ」 断った。だって栞が昼作って待ってくれてるし。昼過ぎから仕事行っちゃ…う…って!あ!そうだ!栞昼過ぎから仕事じゃん! 「俺結構急いでるから!手、離してくれない?」 空いている手も使い固く握られた手を必死に剥がそうとする。が、東峰は東峰でいつの間にか両手で手を握っていて離してくれる気配がない。 「ちょ、っとぐらい良くね?大体4時間くらい、さ!」 「それ!全然ちょっとじゃないよね!?」 あぁ、こんなやり取りをしている間にも時は無情に流れていく。 「えー…なんかさ、急ぐ理由でもあんの?」 「家族が昼ご飯作って待ってるし」 「連絡入れればよくね?」 おいこら人の話を聞け。 ────────────
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