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東峰は明日遊びにいくという約束で手を離してくれた。だけど結局1時間も押し問答をして時間を潰してしまった。その上電車を1本乗り過ごしてしまい更に30分ロス。 午前中には帰る筈だったのに駅に着いた時には午後12時30分過ぎ。 栞が出かける時間も聞いておけばよかった。今日は似たようなことばっかり考えている気がする。 電話なりメールなりで連絡をすれば良かったのかもしれない。と気がついたもののそういえば栞の連絡先を知らない。この5ヶ月、そういう必要がなかった。というのも栞は仕事に行っている時以外は殆ど携帯で連絡する必要のない範囲内に居た。…聞いておけばよかったかもしれない。 ちなみにだけど家に電話はない。なんでかと聞いたら栞はない方がいろいろと都合がいいらしい。 駆け足で改札を通る。 それから今朝通ってきた表の道じゃなく最近知ったばかりの裏道に入った。 路地裏を少し進むと後ろで足音が、して振り返ると大男が立っていて腕を捕まれ、ああ、これは、振り返らずに、止まらずに走ればよかったかもしれない。大男が持っていた煙の様なものを吸わされた。最初は抵抗少しずつ意識が混濁していき、意識を、手放した。 ─────── ──── ─ ゆっくりと重 い瞼を持ち上げると少し薄暗い。が、いくら寝起きで頭が働かないとはいえ見間違えない。ここは自室だ。 全体的にぼやけた頭をフル回転させて考える。いや、正しくは思い出す。 今日から登校で、HRを受けて、東峰を振り切って、電車に乗って、家に帰ろうとして
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